502号室 木○麻耶(26歳)
罪状:無責任なコメンテーター

<罪状>
 日中、TVのどの局でも放送している「情報番組」。構成はどこも似通っていて、司会、専門家、コメンテーター(タレント)が政治、社会、芸能、生活などのさまざまな事件、事象を紹介し、コメントしてゆく。
 最近では不穏な時世を反映して、殺人などの事件に関する内容も多い。
 彼女はモデル出身のマルチタレントとして、こういった情報番組のコメンテーターの常連となっている。視聴者に近い等身大のコメントが好感を呼んでいるようだが、しかしそれも良し悪しと言える。
 ある殺人事件で、彼女はこんなコメントをした。
「これって、どうみても不自然ですよね。どうしてこの母親は子供が死んでるのを見つけたのに、すぐに通報しなかったのかしら。ちょっと考えられないなぁ」
 確かにリポーターの話の範囲では、不審に思える部分もあると言えた。しかし、さらにくわしく見なければそれが不自然なんか、仕方なかったことなのかなどわからない。そのコメントは、まさにお茶の間でTVを見ている人が、家族の間で「なにか変だよねぇ」と気軽に話題にするのと、まったく同じ次元なのだ。しかし、TVはお茶の間とは違う。印象や感想を雑談レベルで言っていい時とそうでない時があるのだ。
 これをきっかけに、被害者の親族はマスコミと世間から犯人扱いされ、何重もの悲しみと苦しみの中でついに耐え切れずに自殺・・・真犯人が逮捕されたのは、その後になってのことだったが、当然のように、コメンテーターや番組からのお詫びや謝罪の言葉はなかった。
「あいつ怪しいよね」「変だよ絶対」・・・お茶の間では許されても、TVの出演者が同じ感覚で言ってはいけないことがその時点時点であることを(加害者が自ら認めているとか、判決が出たとか、誰の目にも確かな証拠があるとかいう時は話は別だが)、もっと思い知るべきだろう。

<責め>
 その日を境にこのタレントはTVから姿を消した。思ったことを無責任に口走るその性癖を強制するために、この監獄に収監されたのだ。
 スクール水着姿で緊縛され、宙吊りにされ、その苦しい体位で二穴をバイブレーターでかき回される。美しい肢体と丹精な顔が苦痛にゆがみ、悶え、喘ぐ。しかし抗議も哀願も発することはできない。口にはギャグをかまされ、なまめかしい喘ぎ声しか出せないようにされている。・・・しかしこれは犯罪被害の上に無責任なコメントによる二重の被害に苦しみながらも、その心情を信じてもらえず、失意のうちに命を絶った被害者を追体験することにもなる。
 思ったことを素直に言うことは大切だが、それで誰かが傷つかないのか考えることは、TV人としての最低限の資質であることを思い知るまで、この地下牢の責めは終わることはないのだ。